第18話 行事と芸能

尚巴志活用MP

2015年02月12日 08:32

南城市は東四間切といわれ、聖地として崇められてきました。
その行為である行事は国家レヴェルのものだけでなく、地域や門中単位で行われているものもあります。
多くはその生業と繋がっており、五穀豊穰や子孫繁栄、地域の発展を願います。

最も有名なのは久高島のイザイホー(注①)でしょう。
また、弥勒の面をかぶって地域を練り歩く古堅のミーミンメー(注②)や稲作起源に由来し受水走水やミントンで行われる親田御願(注③)など、個性溢れる行事があります。

南城市の多くの地域に共通してある行事は綱引きです。
大城や知念の支度綱(注④)が有名ですが、仲村渠の綱引き(注⑤)も歴史が深く興味を引きます。

行事の中にはヌーバレー(注⑥)や十五夜遊び(注⑦)のように芸能が伴うものもあります。
手登根の古式エイサー(注⑧)は「南無阿弥陀仏」を繰り返す踊念仏で王朝時代から続いています。
獅子舞(注⑨)は玉城、糸数、稲嶺、当間、津波古などに伝わり、魔除け、安泰、火消しの神として十五夜遊びで披露されます。
棒術(注⑩)も多くの地域で受け継がれています。
津波古や西原、古堅、垣花、前川などで行われていますが、剣や鎌などで組む屋比久のティンベーとカマンティー(注⑪)やエークで組む奥武島の砂掻チヌティー(注⑫)など独特なものもあります。
他に、知名、安座真、久手堅のヌーバレーで披露される芸能(注⑬)や糸数の掃除サーブー(注⑭)、前川のアヤグ(注⑮)や寄鍬(注⑯)、志堅原の醜童(注⑰)、津波古の天人(注⑱)など個性豊かな芸能が受け継がれています。
士族の中には芸に長けた者も多く、地域芸能を手がけた者が多かったようです。

また、奥武島や海野、津波古ではハーリーというサバニ船でスピードを競う行事があります。
特に奥武島のハーリーは海神祭として行われており、橋の上から飛び込んで船まで泳いで乗ったり、わざと転覆させて立て直したりする個性的な行事内容となっています。
ハーリーは基本的にユッカヌヒー(旧暦5月4日)に行われます。

これらの個性的な行事や芸能は県内どこにでもあるものではなく、東四間切が土地と人との結びつきの中で生み出して育んできたもので、その歴史は400年以上に及ぶものもあります。

注①久高島のイザイホー•••12年に一度、午年の旧暦の11月15日から4日間、久高殿の御殿庭を中心に行われる神女洗礼の儀式。

注②古堅のミーミンメー•••大里古堅に伝わるミーミンメーは、毎年旧暦の4月1日に子孫繁栄や豊作を祈願する為に行われ、ミルク(弥勒菩薩)の面をかぶった人と、老翁、老婆、棒術の青年、子どもたちで集落内を練り歩き、地域の各拝所で踊りを披露する

注③親田御願••• 旧正月の吉日(午の日)に受水走水を拝み、ミントンまでクェーナを歌いながら練り歩く
この行事が田植えの合図となった

注④支度綱•••大城区や知念区では綱の上に組踊の役に扮した人物を立たせて入場する

注⑤綱引き•••仲村渠や目取真、親慶原などでも盛んに行われている
目取真では綱引き前にのトゥールを用いてガーエーを行う
多くは6月ウマチーやアミシ(それぞれ稲の収穫祭)、旧盆ウークイ(送り盆)で実施される

注⑥ヌーバレー•••旧盆の翌日に行われる厄払い
知名、安座真、久手堅が有名で拝みが終わった後は多彩な芸能が披露される

注⑦十五夜遊び•••十五夜では各家でフチャギ(小豆をまぶした餅)を仏壇や火の神に供え、夜は村遊びが行われる
演目は獅子舞や棒術などをメインに様々
旧盆やヌーバレーと並んで多くの芸能が見られる日となっている

注⑧手登根の古式エイサー•••現在沖縄市などで行われているエイサーとは違い、「南無阿弥陀仏」を繰り返しながら厳かな雰囲気で踊る
エイサーは袋中上人が伝えたとされる踊り念仏の一種で死者をあの世へ送る意味で踊られる
最近では祭祀というよりも演武的な要素が強い

注⑨獅子舞•••かなり大きなサイズでまるで生きているかのごとく躍動感溢れる動きを見せる
火消しの守り神として知られ十五夜遊びで披露されることが多い
稲嶺、当間、糸数、津波古、玉城などが有名である

注⑩棒術•••津波古の棒術は舞方棒から1〜5人棒で構成される
勇壮で迫力ある演武は毎週の練習で培われている
古堅のハイファー棒や西原のアミシ棒、他に垣花や稲嶺、前川など多くの地域で継承されている

注⑪ティンベーとカマンティー•••屋比久に伝わる芸能で剣と盾を持った者と鉾を持った者の戦いと、鎌を持った者と棒を持った者の戦いを見せる芸能
武術の要素を前面に大師かなり珍しい芸能

注⑫砂掻チヌティー•••奥武島らしくエーク(サバニ舟を漕ぐ木製のオール)で組む演武
浜で行う設定であることから砂を掻く様子がうかがえる

注⑬ヌーバレーの芸能•••知名では胡蝶の舞、仲里節、手間当、百姓の按司など、安座真では谷茶前、鳩間節、久手堅では組踊「鏡の割」がよく知られている

注⑭掃除サーブー•••糸数区の十五夜遊びで開演前に披露される一人芝居
村の青年が地頭に遊び庭の掃除を命じられ掃除を終えた後、綺麗になった庭を見て自己陶酔する内容
かなり貴重な演目である

注⑮あやぐ•••前川区に伝わる芸能で農村の若者たちが畑仕事を終えた後に力くらべを楽しむ様子が描かれている

注⑯寄鍬•••昔の農作業を描いた芸能で、鍬で畑を耕したり、休憩したりする様子など細かいところがしっかり描かれている
リズミカルに進行し、時には芝居も入る複合的要素を持つ芸能


注⑰醜童•••志堅原区では伝統の打ち組み踊りである醜童をコミカルに舞う
醜女役の面を大きくし、白粉の要素を強くする
動きもユニークで細部まで演出が施されている

注⑱天人•••沖縄の多くの地域で「長者の大主」という村芝居が伝承されているが津波古区では3m以上の巨老人が登場し五穀を授ける様が描かれた「天人(アーマンチュー)」が伝承されている
津波古区ではこの他に「木曳き狂言」や「酒呑狂言」などの村芝居が伝わっている


百名区の稲摺節は前踊りで稲作の手法を伝えその後地域ぐるみで稲を摺りながら豊年を喜ぶ様子が描かれている
稲摺節は前田節や二合節と共に演奏されることが多く豊作を祝うメデタい歌である


































































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